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MILK&honey
第10章 彼氏が居るので、困ります。
*
『今日、お家に寄らせて貰うね』
『塾の日じゃねーの?』
『うん。着くの少し遅くなるけど、久し振りにかーさんとご飯食べたい』
変な白いクマのスタンプが、キラキラをバックにハートを飛ばしている。
……深い意味は、ねーと思う。思うんだけど、クマをるりちゃんに置き換えて身悶える。
「何にやにやしてんの、ヒカリちゃん?」
「っ!!!!!!」
気が付くと、利人が背後に居た。
「っ覗くなっ!!!!」
「怖いな~。どうせるりるりでしょ?」
「変な呼び方すんな!!」
違うわ!……とは言えない、図星だから。
そして、この会話を遠くから聞いていそうな奴が居る。
「るり?何だって?」
お兄さん。距離も有るし音も出してんのに、よく聞こえましたね。
「今日来るって」
「早めに帰らせてやって、受験生だし」
「……分かってる」
分かってるけどさ。
久し振りに会えんだから、るりちゃんが怒られないギリギリまで一緒に居てーじゃないですか。
巧の言い方だと、今日は巧んとこには泊まれないし、迎えにも来れないみてーだからな。お家に帰すなら、どんなに遅くても2300にはお別れだ。
……引っ越そうかな、るりちゃんちの近所に。
それじゃ意味ねーのか。巧んちと同じマンションに居るから、ウチに来てくれてんだった。
住んでる場所だけが、俺の存在意義……。
それでも良っか!とにかく今日はるりちゃんとご飯だ!!
「っし!気合い入れてくぞ!!」
そんで、一秒でも早く帰る!!!!
「いつもその位やる気出して欲しいもんだな、ヒカリ」
立ち上がって捲れた衣装を直すのに、忙しかったので。
サクが苦笑して言った言葉は、聞こえない振りをした。