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MILK&honey
第12章 結婚したら良いんじゃね!?

「え……結婚……っ……」
「結婚……」

 今度は三すくみじゃなくて、るりちゃんと巧の二すくみだった。

 巧は、憮然として一言発して、黙った。
 るりちゃんは目を見開いたまま、ぼんやり呟いた。

「……結婚したら、大人になれるの……?」
「や、大人には、なれねーけど……」

 そういう意味では、なれねーよな。違う意味なら、なれ……ごめん、今の無しで。

「るりちゃんが結婚したら、相手とるりちゃんで、新しく世帯になるんだろ?そしたらもう親が保護者じゃなくなるんじゃねーの?」
「……そっか……結婚……!!」

 そう呟きながら、るりちゃんの様子はぼんやりからちょっとずつ変わっていった。

 だんだん頬っぺたに赤みが増して来て、つやつやした薔薇色になった。
 口元が柔らかい弧を描き始めて、嬉しそうではにかみ混じりの笑顔に変わる。
 伏せられて沈んでた瞳が輝き出して、朝の海みたいにきらきらして来た。
 体中から春の木々みたいに生気が溢れだしてきて、眩しいみたいな感じになる。

 ……なにこれ。なにこの夢みたいに可愛い子。
 俺の目が、おかしくなったのか。
 や。おかしくない。るりちゃんは最初から、こんな風に目も心も全部一瞬で奪われるくらい、きらきら眩しく俺の前に現れたんだった。

 るりちゃん……
 ……結婚すんなら、俺としよ……?


「……ちょっと、待て……」

 甘く痺れる様な浮かれた妄想の時間は、不機嫌で冷静な一言に遮られた。

「法律上は、そうなるだろうけど……」
「けど?」

 巧は眉間を揉みながら、ぶつぶつ呟いた。
 大丈夫、タクちゃん?
 やっぱり体調悪いんじゃねーの?
 
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