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借金のカタに妻を差し出しました
第3章 借金のカタになります
部屋出た和明は、エレベーターと部屋の前で迷っていた。もし、エレベーターに乗ったら、もう二度とこのフロアにも来ることは出来ない。

和明は、矢那は12時から瑞樹を自由に出来るはずなのに、未だ来ないのは、もう来ないのではと、ずっと思っていた。

エレベーターの前で考えていると、チャイムが鳴り、矢那が出てきた。

矢那は和明に気付くと、直立不動から深々と頭をさげ、

「誠に失礼なお願いを叶えて頂きありがとうございました。」と感謝を伝えた。

和明は矢那がやって来た事に驚き、頭を下げる事も出来ないでいた。

矢那は今、乗ってきたエレベーターに乗ろうとしない和明に声を掛けた。

「あの、ご心配ですか?」

「えっ、それは心配です。」

「それは、判ります。・・・では、少し覗いていきますか?」

思いがけない提案に、和明は「いいんですか?」と、即答していた。

「そうですか、でも、注意して頂きたい事があります。声を出さないで下さい。あと、私が合図をしたら席を外して貰えますか?」

和明は瑞樹の様子が見られるならと、

「はい、大丈夫ですよ。」と、即答した。

「では、決して声は出さないで下さい。」

矢那は、カードーキーを取り出した。
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