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第1章 借金

瑞樹はスマホに電話番号を入力しながら、高校の時、みすぼらしくて、不潔とクラスメートと矢那の事を話した事を思い出していた。

通話ボタンを押す時に、みすぼらしくて不潔なのは、今の自分自身だと思いながらスマホを耳に当てた。

ワンコールで相手が出たので、瑞樹は不意を突かれて一瞬声を出すことができなかった。

「はい、矢那です。・・・・・・、あの・・・もしかして、山鹿瑞樹さん」

「あっ、はい、山鹿瑞樹です。・・・あの・・・久しぶり。」

「突然でびっくりさせたね。良くない噂が耳に入ったので、悪いけど勝手に調べさてもらったよ。」

「・・・あのっ・・・わざわざごめんなさい・・・」

「いや、いいんです。僕が勝手にやったことだし、３年間一緒だったクラスメートが困っているから助けたいんだ。」

「・・・ありがとう。でも、助けると言っても・・・」

「いいんだよ、僕には君たちを助ける位の力はあるから。ご主人とお話をしてもいいかな？」

和明にスマホを渡し、助けると言った矢那と、１５年前の「お金が無いから」を言っていた結びつかない矢那を考えていた。