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借金のカタに妻を差し出しました
第1章 借金
夫、和明と矢那の通話は5分くらいだっただろうか。

和明の言葉は「はい」と「お願いします」で、矢那に助けを請う方向のようだった。

会話を終えた和明は、瑞樹に再び電話に出るように促した。

「瑞樹、矢那さんにお願いするしかないようだ、お願いしよう。」

その表情は、最近の暗い表情ではなく、明るい表情を久しぶりに見た気がした。

「あの、もしもし、変わりました、瑞樹です。」

「あ、そうだね、今は山鹿じゃなくて平河瑞樹だね・・・。取り敢えず、ご主人とは話をして、僕が助ける方向で進めようと思うけど、山鹿・・・じゃなくて、瑞樹さんは、どう思いますか。」

「助けてくれるのは・・感謝するしかないけど、私達を助けても矢那さんには何もないんじゃないですか?」

「その事も、ご主人とさせて頂きました。ご主人は覚悟を決めている様ですよ。あとは、瑞樹さんが私に助けを求めるのであれば、今すぐに手を差し伸べます。」

「・・・はい、わかりました。主人が決めているのならお願いします。」

「そうですか、決して悪いようにはしませんから安心してください。これから、私の部下をそちらに向かわせるので待っていて下さい。」

そう言って電話は切れた。
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