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依存
第4章 お腹が疼く

その寝顔を愛おしいと思う。
ずっと私の為に奔走を続けてくれた源心をゆっくりと休ませてあげたい気持ちが強くなる。
「おやすみ…。」
源心の額にキスをする。
昔、源心が何度も私にしてくれた事…。
私の腕の中で眠る愛しい人…。
私が彼を守ると心に決めた夏だった。
そんな夏休みが終わりを迎える寸前に私は地獄に堕とされる。
いつものように源心の会社でバイトする。
「早苗ちゃん、バイトバイトって…、ちょっとは青春をしなよ。」
相変わらずの島崎さんが私に言う。
「してますよ。」
そう返事をすれば野原さんが目を輝かす。
「早苗ちゃん、彼氏とか居るの?」
「居ませんよ。」
「えーっ!?早苗ちゃんくらいの美人なら彼氏がいっぱい居て当たり前って思ってた。」
それだと世の中の美人は全て悪女になっちゃうよ?
野原さんに呆れる。
「じゃあさ、俺とデートしない?早苗ちゃんみたいな美人を連れて歩けたら自慢になるし。」
島崎さんにも呆れる。
私はアクセサリーじゃありません。
どうも源心の会社の社員さんの恋愛感覚っておかしいとか思う。
「社長にコーヒーを持って行きます。島崎さんも野原さんも遊んでるって言い付ける。」
「うわっ!?待って!早苗ちゃんっ!」
「明日、ケーキを奢るから、シーッ!」
慌てて仕事をする2人を尻目にしながらコーヒーを社長室に運ぶ。
「源心…。」
コーヒーを源心の机に置いた瞬間に源心が私の手を握る。
「来るのが遅せぇよ。」
何故か源心の機嫌が悪い。
「待ってたの?」
コーヒーの約束は3時。
今は3時5分…。
大して遅れた訳じゃない。

