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依存
第1章 お腹が空いた
「源心(げんしん)、源(みなもと)に心(こころ)と書いて源心と呼ぶんだ。」
「みなもと?」
「暁 源心…。早苗は?」
「横田 早苗…。」
「そうか…、よろしくな。早苗。」
その人が大きな手で私の頭をくしゃくしゃと撫でる。
まだ子供だった私には源心が若いのか年寄りなのかがわからない。
「お腹は空いてるか?早苗。」
源心がそう聞いて来る。
今はまだ給食を食べたから、それほど空いてない。
でも…。
夜はわからない。
困った顔をすると源心が私の手を握る。
「ハンバーガーでも食おう。」
公園の裏側にあるハンバーガーショップに私を連れてってくれる。
男が居ない時はママも連れて来てくれた事がある。
そこでハンバーガーとポテトとナゲットを食べる。
「帰りにコンビニで何か買ってやるよ。」
源心が笑う。
「なんで?」
なんで知らない人が私なんかに、そんなに親切にしてくれるの?
素朴な疑問を源心にぶつける。
「早苗が可愛いからかな?」
ふざけたように源心が笑う。
ハンバーガーを食べてから源心がコンビニでジュースとオヤツを買ってくれる。
「明日は学校が休みだろ?」
「うん…。」
「昼前にあの公園に来いよ。」
約束だけを残し私をアパートの近くまで送ってから源心が帰って行く。
お腹もいっぱいになり、源心と会う事に夢中になって来た。
家に帰るとママが居る。
「どこに行ってたの?」
「お友達のところ…。」
「ふーん…。」
私には興味がない顔をする。
「あのね、ママ…、明日もそのお友達のところに行くの。ちょっと遅くなるかも…。」
私がそう言うとママの顔が怖い顔へと変わってく。