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依存
第1章 お腹が空いた
目を見開き、何かに怯えたような表情をするママが私の腕を強く握る。
「あんた…、まさか!?」
「言ってないよ。ママの事は大好きとしか言ってないよ!」
「本当に?」
「うん…、優しいママが大好きって…。」
「なら、いいよ…。」
ママがまた私から興味を失う。
「ねぇ、ママ。あの人は?」
「今夜は仕事だって…、明日には帰って来るわよ。」
新しい男は時々、仕事だと言って居なくなる。
そんな日はママがイライラとしてて怖いと思う。
新しい男には帰って来て欲しくない。
だけどママが怖いのも嫌だ。
「おやすみなさい…。」
まだ眠くないけど自分の部屋に籠る。
明日は土曜日で学校がない。
給食もないから源心だけが頼りだ。
あの人は私にご飯をくれる。
あの人は何故か私を気に入った。
あの人に嫌われなければ、きっともうお腹が空く事がなくなる。
でも毎日のように源心がご飯をくれるとは限らないからと源心が買ってくれたスナック菓子の袋なんかもカップラーメンと一緒にタンスの中に隠す。
そうやって何日分かの食事を貯める事が私の唯一の幸せだった。
ご飯がある安心感が私の生きる希望だった。
翌日は私の方が公園に早く着いちゃった。
ママの新しい男が朝早くに帰って来たから…。
「お酒臭いわ…。」
「酔っててもお前にはビンビンだよ…。」
男がママに身体を擦り寄せてから私を邪魔だと睨んで来る。
私は逃げるようにして家を飛び出す。
夕方まで帰らない方がいい。
帰れば、机を蹴られたりして怖い思いをする。
私自身は叩かれない。
それでも怖い思いは何度もさせられた。