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依存
第5章 お腹が寂しい



ママの方も刑事さんの顔は見ずに怯えた顔で俯いたまま私の手を握り私にしがみつく。


「まずは、暁さんについてですが…、娘さんとの関係はご存知でしたか?」


刑事さんの質問にママは目を細める。


「暁?」

「暁 源心さんです。娘さんのバイト先の社長さんですよ。」

「早苗のバイト…、社長さん?」

「そう、社長さんとはお母さんもお会いしてますよね?」

「多分…。」


ママはSEX以外の事に興味がない。

ママのSEXの相手の名前にすら興味がない。

ママがまた怯えた顔をする。

若い刑事さんが困った顔を繰り返す。


「帰っていい?早苗…、ママは帰ってもいい?」


ママが私に駄々を捏ねる。

学校で三者面談などがあるとママはいつも駄々を捏ねて私と先生を困らせる。


「すみません、母は病気なので母を休ませてもいいですか?質問なら私が受けますから。」


学校の先生にそんな風に答えて来た私は慣れた口調で話をする。


「ならお母さんへの質問は後にしよう。」


年配の方の刑事さんがそう言って私の前に座り直す。

刑事さんが2人になり、ママがますます怯える。


「ママ…、ママはあっちで待っててくれる?」


広い会議室の隅にママを連れて行き座らせる。


「直ぐに終わらせるから待っててね。ママと一緒に帰るからね。」

「ママは帰れるの?」


ママの不安は私の事じゃない。

自分が無事に家に帰れるかばかりを心配してる。

長引けばママの精神がもたないと判断する。


「待ってね。絶対に動かないでね。」


ママを宥めてから刑事さんが待つ机の前に戻り、座り深呼吸をする。


「母が耐えられないので手短にお願いします。」


私の態度に年配の刑事さんが眉を動かした。


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