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依存
第5章 お腹が寂しい
「君は…、随分と大人だね…。」
同情するかのように年配の刑事さんが言う。
「質問を進めて下さい。」
世間話で長引く事は出来ない。
ママが発狂などすれば私は逮捕ではなく保護されてママからも源心からも引き離されてしまう。
綱渡りな気分で刑事さんと話をする。
「暁さんは…。」
「私のバイト先の社長さんです。」
「バイトは暁デザイナーズコーポレーションだね。」
「はい…。」
質問の内容は私が仕事として何をしていたか…。
私の他の社員の事…。
そんな話から少しづつ確信へと誘導されていく。
「生活の為に君は中学生の時からバイトをしてたんだよね?」
「はい…。」
「では、暁さんとはバイトを探してて知り合ったのかな?」
「違います。」
「バイトをする前から知ってた?」
「はい…。」
「バイトをする前は暁さんはどんな人だった?」
「とても親切にしてくれました。」
「親切?」
「はい、ご飯を食べさせてくれたりしてくれる人でした。」
「お金も?」
「はい…。」
年配の刑事さんが息を吸う。
「その見返りを求められた事は?」
慎重に私に質問する。
「ありません。」
源心は私に与えてくれるだけの人だった。
私に何かを望む人じゃない。
私がやりたいと言った事を与えてくれるだけの人。
「強制わいせつって言葉はわかるかな?」
刑事さんが質問の角度を変えて来る。
「わかります。」
「どういう内容か言えるかな?」
「SEXなどの行為を未成年に強要する事です。」
顔色1つ変えずに答える私に刑事さんが目を見開く。
「それを誰から教わった?」
その答えを引き出したいと刑事さんが私を射抜くような目で真っ直ぐに見た。