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依存
第5章 お腹が寂しい
少し離れた場所で怯えて踞るママを見る。
ママの傍には制服を着たやはり年配の女性の警察官が付き添ってる。
私には若い女性警察官…。
刑事さんの質問が女性に対して適切かの判断をする為の女性が付き添いをする規則なのだろう。
ゆっくりと小さな声で私は刑事さんの質問に答える。
「ママから…、母から教わりました。」
私の答えに刑事さんがまた目を見開く。
「お母さんが?」
「母はSEX依存症です。うちには母の相手をする男の人が毎日出入りします。嫌でも母が何をしてるかが私にはわかります。」
「なら、その行為を暁さんと君が行った事は?」
「ありません。」
また刑事さんが驚愕の顔をする。
私はゆっくりと私の事を話す。
ママは病気だった。
私のご飯を忘れる人だった。
ママは私と離される事を嫌う。
だから警察が嫌いなママだ。
私を助けてくれる人は源心だけだった。
ご飯もご飯の作り方も、学校の勉強も源心から私は教わった。
私は源心のご飯を作り、そのお礼に源心がお小遣いをくれた事実を話す。
「バイトのお給料は母の男に生活費だと言って取り上げられました。だから社長は私の銀行口座に別のお給料を隠して振り込んでくれました。」
源心の銀行の記録から私に毎月のようにお金が振り込まれてる事を既に警察は知ってる。
私の通帳を出し、刑事さんに証拠として渡す。
「一度も使ってないんだね。」
「そのお金は私が生きる為の最後の砦になるお金ですから…。」
生半可な生き方は出来ない。
万が一、源心が居なくなれば…。
万が一、ママが居なくなれば…。
私が1人で生きて行くには私自身に揺るぎない力とまとまったお金が必要になる。