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依存
第1章 お腹が空いた



前の男はママを叩いた。

ママは私だけを庇ってくれた。

私を叩くなら別れると、その男にママが言う。

だから私はママに依存する。

ママが居ないと生きていけないとばかり思ってた。

公園のベンチに座ってると


「もっと早く来てやれば良かったな。」


優しい声がする。

源心が来てくれた。

来てくれただけで嬉しい。

思わず笑顔が溢れる。


「行こうか…。」


公園の前に車がある。

今日は車で移動する。

前みたいに運転手が居ない。


「この前の人は?」

「運転手が居るのは仕事用の車だけ、今日は俺も休みだよ。」


笑いながら源心が運転手をしてくれる。

源心の隣の席に座りお姫様になった気分になれる。

源心が行ったのはレストラン。


「ほら、好きなものを頼め。」


源心が私にメニューを見せてくれる。

でも、私には好きなものがわからない。

ご飯の名前も知らない子。

知ってるのはカップラーメンだけ…。

キラキラと輝くご飯なんか見た事がない。

美味しいのか、自分の好きな味かもわからないご飯達に迷っちゃう。


「源心は何を食べるの?」


源心と同じものにしようと思う。


「俺?腹減ってないからなぁ…。」


源心が困った顔をする。


「早苗はハンバーグでも食えば?」

「ハンバーグ?」


質問した私に源心が目を細めて悲しい顔をする。


「このお肉の塊を焼いたのがハンバーグ。プレートが熱いから気を付けて食べろよ。」

「うん…。」


ご飯の名前もろくに知らない子だとバレた。

頭の悪い子だと知られた。

源心に嫌われたかもと思うと怖くて悲しくなる。


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