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遅すぎる初恋
第16章 相談
「そんな人と付き合ってるんですけど、最近出張が多くて。しかも仕事のパートナーが異性で二人で何日間も行動を共にしてるのが不安で。俺なんて顔を見ない日が少し増えただけなのに、職場でも出張先でも一緒って……」

言ってて子供じみてるなと改めて思った。

『そんなに不安なら仕事帰りとか出張帰りに会いに行けば?』

「いちお、一緒に暮らしてるんですよ」

『そうなの!? 同棲中なら、なおさら俺が入る隙ないじゃん』

残念、と落ち込んだように見える顔が可愛い。
紫音以外の男に初めてそんなことを思った。

『じゃあ寝込み襲っちゃえば? そーいうのってお互いが好きってのがわかって安心しない?』

「たしかに。でも帰ってくるのも深夜で俺が目覚ますと寝息立てて寝てるのを見ると、無理矢理ヤるのもなぁとか疲れてるのにヤりたいとか言えないよな、って考えちゃうんですよ」

自分で言っててめんどくさいヤツだと思う。
こんな話しを聞かされた佐伯さんの方を見るのが怖い。

『……宮内さんって優しいよね。相手の気持ち考えずに自分の欲求満たすためにヤる奴もいるのに』

不思議な顔をしていた。
驚いてるような感心してるような、異様に真面目な顔。

「そ、そんなことないっすよ?」

佐伯さんに止められたのも忘れていつも以上に酒を飲んでいた。
頭がフワフワする。

「俺、ホントすげえ無理させちゃうから。辛いのはアイツなのに。こんな年なのにつき合ったの、初めてだし、もちろんそれ以上のことも初めてだから、自分で自分をコントロールできないんだ」
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