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遅すぎる初恋
第17章 紫音と竜也の過去
『何か迷いでもあるの?』

「迷いってか、竜也とこのままずっと一緒にいたいなって」

あー。やっぱり難しいのかな。そーゆう事情だと。

『紫音。俺はずっと一緒にいるよ』

後一年で別れるつもりなのに無責任にもそんなことを言ってしまった。

だから。
別れを切り出したときはすげえ落ち込んでたし怒ってた。

『紫音、ごめん。本当はずっと最初からこうするつもりだった』

「何で!?」

『俺が紫音にハマりそうで怖かったから。紫音を閉じ込めて逃さないようにしちゃいそうだったから』

「オレは竜也にそうされてもいいよ」

『紫音。それはダメだよ。お前は育ててくれて恩返しに叔父さんの会社を継ぐんだろ? 俺なんかと一緒にいるべきじゃないよ』

それから何度も話し合って紫音とは別れた。




『とまあ、こんな感じなんだけど』

話終わると宮内さんは何とも言えない顔をしてる。
余計に不安にさせたか?

「じゃあ、佐伯さんと紫音って別に嫌いになって別れたとかじゃないんだ?」

『ま、まあ、そーゆうことにはなるかな? でも今はお互いそんな気持ちないから、大丈夫』

むしろ俺が今好きなのは宮内さんだけどね。
告白され慣れてないから未だに信じてもらったかどうか謎だけど。

『紫音も今は宮内さんのことかなり好きみたいだし。俺、別れ話切り出した時以上に怒られたからさ』

「そんなこと……」

『大丈夫だから。紫音を信じてあげな?』

『じゃないと、俺、本気で宮内さんを狙いにいくよ? 弱味につけこむのは俺の得意なところだし』

そう言うと、それだけはダメですと律義に断ってきた。
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