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遅すぎる初恋
第18章 二人の時間
『それは、ごめん。オレも仕事終わらせることにしか頭が回ってなくて、急ぎで短期間で契約しなきゃいけなくて、焦ってた』

申し訳なさそうに謝る。
不安しかなかったのに、この顔を見たら不思議と安堵する。

タイミング良く注文した食べ物が運ばれてくる。
聞かれて困るわけじゃないけど、内心はドキドキ。

「そーいや東雲さんはオレらのこと知ってるの?」

『知ってるよ。最初は適当にかわしてたんだけど、あまりにもしつこいから、教えた。彼女はオレたちの味方だよ。誰かに言いふらすこともないし。ごめんね? 勝手に教えちゃって』

紫音の話し方が優しくて、会社の人に知られたのに、今は冷静でいられる。

「……紫音がそう言うなら大丈夫」

『和哉、佐伯先輩に告白されてたんだね』

「えっ!?」

思わず飲んでいたサワーを吹き出しそうになった。

「まさか、佐伯さんと紫音が知り合いなんて思わなくて……俺も知ったときはすげえびっくりした」

嫌いになって別れたわけじゃなさそうな二人。
何年も前の話だから、今は何とも思ってないって言ってたけど、紫音はどうなんだろ……。

『佐伯先輩とオレってさ、好みのタイプが同じなんだよね。だから先輩が和哉のこと好きになるのも納得。でもオレは和哉を譲る気はないから』

『高校生のときは佐伯先輩に憧れに近い感情だったんだよね。だから別れたときは辛い思いもしたけど、和哉とは辛いどころじゃない。少し離れてただけでも淋しいし辛いし、佐伯先輩から電話あったときはおかしくなりそうだった』
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