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遅すぎる初恋
第19章 成果と報酬
「こんな大ごとになるとは思ってなかったから、連れてきちゃったんだけど、オレが東雲さんと婚約できない理由です。彼、宮内和哉さんと一緒にいたいって思ってます」

ゆっくり丁寧にでもハッキリとそう言う紫音にその場にいた全員が俺たちを注目する。

待て待て待て!!
こんなところでいきなりのカミングアウトって!!
てか、家族に紹介されちゃったよね!?

キャパオーバー。動揺しまくる俺の手を紫音が握る。

「まあお前の恋愛関係についてはどうこう言うわけじゃないけど、この先のことをよく考えるようにな。お前は将来、この会社を継ぐわけだからな」

この先。
会社を継ぐ時の紫音の隣に俺がいていいわけないか。
将来を考えると難しい関係だとはわかってる。
それが何年後かわからないけど、現実を突きつけられた気がして、落ち込む。

そのことを察したのか握る手に力を入れ、チラっと俺を見る。

「社長。今回のもう一つの条件。オレが社長に経営についてとか教えてもらう日まで今の部署からは異動したくないっていうのもクリアでいいですよね?」

「わかった。それも約束しよう」

「それと、叔父さん。オレはこの先、和哉さんがオレと一緒にいられないって言わない限りずっと一緒にいるつもりだから。だからオレの結婚については諦めて下さい。叔父さんだって理由あって一人でいるみたいだしね?」

自信満々にそう言うと、俺の手を引いて社長室を出た。

ホントこいつ、カッコよすぎだろ。
俺は泣きそうなのを必死に堪えながら紫音の後をついて行った。
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