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遅すぎる初恋
第3章 お持ち帰り
何だよ、その二択。
そんなの……。
決まってるじゃねえか。






「すみません。宮内先輩が体調悪いみたいで、オレ、送って行きます。今日はありがとうございました。これから、よろしくお願いします」

ホント、嘘がうまい。
俺は入り口のドア付近で会社の人たちからは見えないように背を向けて座っている。

「なかなか戻ってこないと思ったら、そうだったのかよ。気をつけて帰れよ」

課長からの返事を聞いて、俺と西園寺はその場を後にした。

店を出て、タクシーを待っている間、西園寺が今更不安気に確認をする。

「本当にいいの?」

「……いいよ」

俺があの二択から選んだのは、こいつと一緒に帰る方。
相手が男だろうが、女だろうが、一度生身の人から与えられた感覚を知ってしまったから、そんな日に一人でするのは嫌だった。
抜き合いだけなら、思春期の男同士なら多少経験してるやつらもいるし、別に変じゃないだろう。

ふと手を握られる感触に我に返った。
慌ててその手を振り解くと、西園寺が淋しそうな顔をする。

「日本のそーゆう偏見ってよくないよね」

「はっ?」

「海外じゃ、同性でも変じゃないってこと」

言ってる意味は何となくわかるけど、なぜ、今そんなことを言ったのかわからない。

わからないままタクシーが来て、二人で乗ると西園寺は俺の知らない行き先を運転手に伝えた。

あれ? もしかして、こいつについていくのって駄目な選択肢だったりして!?
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