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遅すぎる初恋
第3章 お持ち帰り
「宮内先輩って下の名前、何て言うんでしたっけ?」

俺が選択肢を間違えたんじゃないかと一人冷や汗を流していると、唐突にそんな質問をされた。

「え? 名前? 和哉だけど」

名前とかって知る必要ある!?
俺、何で西園寺についてきちゃったんだっけ?

「和哉さん、今から何をするか、本当にわかってるよね?」

運転手に聞こえないような小声で俺の右手に自分の左手を重ねた西園寺が問う。
振り解こうと力を入れたが、ギュっと上から力を入れて握られた。

何って、そりゃあ、アレだよ。
大人だけど、男同士で抜き合い……。
って今から考えると、これって変じゃね!?

知り合ったばかりの会社のヤツと何をしようとしてたんだ!?

初めて味わった感覚に一瞬で脳が麻痺したようだ。
今更ながら、ダラダラと冷や汗が止まらず、動悸も止まらない。

よくよく考えたら、俺のことを好きだって言った相手と二人っきりとか、さっきの続きとか、マズイだろう。
経験が無い分、変に知識だけはあり、男ばかりに囲まれた生活をしてたせいで、余計に疑り深くなってるかもしれない。
それでも俺の中の何かが、危ないと伝えてくる。

「あんまりわかってなさそうだよね」

握られた手を振り解けず、耳元で少し低めのトーンで言われる。
別に声フェチとかではないと思うけど、これはヤバい。
身体が麻痺したかのように動けない。
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