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遅すぎる初恋
第7章 広がる世界
入社した当初はコンタクトをしていた。
それまで定期的に運動してたし、フットサルのときに眼鏡は危ないからだ。

けどパソコンをずっと見てる仕事に目は乾燥するし、痛いしで眼鏡へ変えた。

「久しぶりにつけると、視界ってこんなんだっけ」

周りを見ればいつも以上にクリアな視界が広がる。

「髪、切ろうかな」

紫音と初めてヤったとき、髪が汗かいた顔に張り付き邪魔だった。
ちょうど切りたいとも思ってたから、今がベストタイミングかも。
短ければ張り付くの気にせずにエッチできる。

「って、紫音とのセックス前提って、何言ってんだろ」

大きなため息をつきながら、帰り支度を始める。



会社を出て、駅前に歩いていくと、お手軽な値段の美容室を見つけた。
俺はその場所へ何年かぶりに入った。



「いらっしゃいませ。今日はどうされますか?」

紫音同様の同性から見てもカッコ良いお兄さんが席へ案内して、鏡越しに言う。

「えっと……髪、伸びすぎたんで、切ろうかな……と」

「好みのスタイルとかあります?」

「いや、とくには」

「それじゃ、お兄さんに似合うようなスタイルにしますね」

鏡越しでニッコリ微笑まれ、自分でも赤くなったのがわかる。
見た目がカッコいい同性見ると、紫音とのことを思い出す。

はぁ、何だか紫音のせいで、着々と一般的な道から外れてる気がする。
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