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遅すぎる初恋
第7章 広がる世界
元々コミュ障で人づきあいが苦手だから、美容院というところは俺にとっては一番近寄りがたい場所。

髪切られながら、色んなことを話しかけてくる美容師も苦手だ。

だけど、この『佐伯』さんっていう人は、不思議と話しやすい。うまく返事できなくても会話を続けてくれる。
大垣先輩に似てるのか。

「宮内さんはお仕事何されてるんですか?」

「えーと、パソコン関係?」

「ということは、IT企業ですか?」

「いや、たぶん違うと思います。医療機器を作ってる会社で、それのマニュアル作りをしてるんで」

「そうなんですね! 僕、パソコン苦手で、できる人がホント羨ましいんですよ」

「お、俺もそんな大したことできないですよ」

褒められるのは苦手で変に焦ってしまう。
営業トークだとはわかってるけど。

「えー、そんなこと言ってすごく仕事できそうですよね。たぶん、年齢、僕とそんなに変わらないと思うのに、かっこいいなあ」

いやいやいやいや。あんたの方がよっぽどカッコいいって!!

「年、いくつなんですか?」

「僕は今年26です」

「一つ上ですね。俺からすれば、佐伯さんみたいな人の方がカッコいいと思いますよ」

見た目も職業も華やかで、俺とは別世界にいるような人だ。
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