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遅すぎる初恋
第1章 出会い
俺の向かい側の席は俺と入れ違いに異動していった人が使っていたもので、この2年間空いたままになっている。
西園寺の席はその席になった。

「前の仕事って今と同じような仕事だった?」

「営業に行くこともあったけど、基本はデスクワークだったよ」

海外生活の名残なのか、いきなり敬語なしで一瞬驚いたけど、年齢はたいして変わらないし、敬語も使われるのは好きじゃないから、まぁいいか。

「それなら、今日はこの資料の英訳をやってみて」

自分の抱えている資料からやり易そうなものを選んで渡した。

「うん、わか……あ、すみません。つい癖で」

初めて敬語じゃなかったことに気づいたのか、慌てて謝る。
その焦り方が何だか可愛く思えて、笑いそうになってしまった。

「気にしなくていいよ。俺も敬語使われるのは苦手だから」

「ありがとう。宮内先輩、優しいね」

またもや満面の笑みでそう言う。
見た目がアイナちゃんに似ているだけあって、不覚にもドキっとしてしまった。

こじらせすぎて、自分自身に引くっ!!
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