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遅すぎる初恋
第11章 言えないことと合鍵
朝のミーティングが始まる。
隣に立つ和哉さんを盗み見ると、眠そうに欠伸をするのを我慢している、何とも言えない表情。

和哉さんには言えないことで叔父さんから電話があったこともあり、一人で不安になってるオレを和哉さんが優しい言葉をかけるから、それに甘えてしまった。

月曜の仕事に支障きたしたら大変だから、日曜はセックスも控えめにしていたのに、オレがお願いしてしまった。
不安な気持ちを和哉さんからの想いでいっぱいにしたくて、明け方近くまでオレを抱き続けた。

身体はダルいし痛いけど、それよりも不安定な気持ちが安定した。

オレは心の中で「無理させてごめんね」と謝り、課長からの話を聞く。

「それと今日からタイの支社から配属になった、東雲 梓(しののめあずさ)さんだ。配属先は1課だが、本社からの指示で西園寺が彼女の営業補佐ということになった」

2課のみんなは驚いてオレを見るが、オレは隣に立つ人の顔を見ることができなかった。
仕事とプライベートを一緒にしてはいけないと思っていても、これからは和哉さんと一緒に仕事をする時間は減ってしまう。
それを事前に知ってたけど、言い出せずにいた。

ミーティングが終わり、席の近い大垣さんが驚いたように声をかけてくる。

「本社社長の指示って、西園寺ってやっぱり」
「大垣さん。それ以上はここでは言わないで下さい。ただオレと東雲さんは同じ会社にいたから、それが理由です」

そう。半分、いや三分の一くらいはそれが本当の理由。
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