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お良の性春
第3章   悶絶 寝屋の戒め四ヶ条
 寝屋の障子は行灯の灯に照らされて白く浮かび、正座するお良の影を宿す。
 その影は、初夜を迎えるお良の緊張を写して微動だにしない。
 膝の上に重ねたお良の手のひらに汗がにじむ。

 おミネの去ったあと再び鳴き出した虫の音が突然止まる。

 そこへ足早に近づく源一郎の白い寝間着姿。

 源一郎は寝屋の前まで来ると深呼吸を一つ。

 サッと障子を開いて中に消えた。

 お良は、部屋の片隅に座って、源一郎をじっと待っていた。
 嬉しいような、恥ずかしいような、恐いような。
 入口の障子がスッと開いて、源一郎が入る。
 源一郎は掛け布団をサッとめくって、布団の真ん中に胡坐をかく。

 「お良、待たせた。きょうはさぞ疲れたであろう」

 祝言の一日が終った。
 朝からの嫁入り衣装、長々と続く挨拶に余興の歌や踊り、沢山の来客。緊張の連続である。
 
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