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お良の性春
第3章   悶絶 寝屋の戒め四ヶ条
 夫のねぎらいの言葉がお良は嬉しかった。

 「不束者ではありますが末永く添い遂げることが出来ますよう・・・」

 お良の消え入るような声は、そこまで言って途切れた。

 恐い・・・・。

 まだ知らぬこれからのこと、源一郎様は何をなさるのだろうか。

 「こちらこそです。さあ、今日から二人は夫婦。誰はばかることなく・・」

 次の言葉をゴクンと飲み込み、枕元の水を飲む源一郎。
 冷静さを装ってはいたが、その上ずった声が、お良をさらに緊張させる。

 「こちらへ」

 「はい」

 お良はスッと立つと源一郎の傍に近づく。
 すると、源一郎が震える声でお良を止めた。

 「お良さんお願いがあるんだ」

 「はい」

 お良は、はたと源一郎の顔を見る。

 「すまないが、そのまま、そのまま立ったままで寝間着を脱いではくれないか」

 なんと、早速、脱げという。
 しかも立ったままだ。

 「あなた様が帯を解いてくだされ」お良はそう言いかけてあわてて口をつぐんだ。
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