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お良の性春
第3章   悶絶 寝屋の戒め四ヶ条
 上座に仙太郎が座る。その右側にお栄とお松。左側に源一郎とお良。
 源一郎の横にはじめて座るお良は、何となくうれしいような恥ずかしいような気分である。

 「無事祝言も済んだ。みなご苦労であった」

 仙太郎はそうねぎらうと湯飲みを手にとってお良を見る。

 「お良は、よく眠れたそうだな」

 尋ねた顔が笑っている。
 お良の顔は見る見る赤くなる。
 なんと答えていいのやら。
 だいたい、源一郎様があんなに激しく・・、と思いつつ上目遣いに源一郎を見上げるが、源一郎は涼しい顔でお茶を飲んでいる。

 お良は小さな声で「はい」と答える。

 その答えを待っていた一堂がドッと笑う。

 「お父上ひど過ぎます。わたしはお義姉さまの味方よ」

 お松がまたまた割ってはいる。

 「朝寝坊の仲間が出来て、お松も安心ね」

 お栄まで軽口を叩たく。
 お良の顔にようやく笑みがこぼれる。
 賑やかな笑い声を聞きながら、一同は朝餉の膳に向かうのであった。

 「よかった」

 義母様は、お良の朝寝坊を咎めたりはしない様子だ。
 食事が済み、朝の家事を一通り済ますと、お栄はお良に使いを頼んだ。
 養家と実家へお礼の品。

「挨拶を兼ねて届けてきなさい」とお良に命じた。

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