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お良の性春
第5章 波乱万丈 若後家 恋の旅立ち
「越後屋に嫁ぎます」
翌朝、お良はきっぱりと両親に告げた。
遠く離れた江戸で、誰一人源一郎のことなど知らぬ地で、己一人の胸の奥く深くにあの人との思い出はしまって生きていこう。
お良はただただ父の言葉を信じた。
さっそく、父は文をしたため、越後屋の女主人お春に送る。
越後屋から「一日も早く」と返事が来たのはそれから大よそ半月後であった。
お良は両親に別れを告げ、手代の三吉、女中のお富に伴われて江戸へ、再婚の旅に立ったのであった。
新緑の山々、田植え真っ盛りの田園風景を見ながらの半月ほどの旅の末にお良は江戸に到着。
日本橋にほど近い賑やかな通りの一角に越後屋はあった。
幾度か仕事で来たことのある三吉が店先に入って挨拶すると、女主人お春が飛び出して来た。
「お良さんかい」
「はい」
「疲れたろう。さあ、遠慮はいらない。中にお入り」
と、お良を迎えるお春の言葉は、江戸っ子らしく元気がいい。
「初にお目にかかります。お良と申します」
お良が改めて挨拶を始めると、「挨拶は後にして、まずは座敷に上がって体を安めな」
翌朝、お良はきっぱりと両親に告げた。
遠く離れた江戸で、誰一人源一郎のことなど知らぬ地で、己一人の胸の奥く深くにあの人との思い出はしまって生きていこう。
お良はただただ父の言葉を信じた。
さっそく、父は文をしたため、越後屋の女主人お春に送る。
越後屋から「一日も早く」と返事が来たのはそれから大よそ半月後であった。
お良は両親に別れを告げ、手代の三吉、女中のお富に伴われて江戸へ、再婚の旅に立ったのであった。
新緑の山々、田植え真っ盛りの田園風景を見ながらの半月ほどの旅の末にお良は江戸に到着。
日本橋にほど近い賑やかな通りの一角に越後屋はあった。
幾度か仕事で来たことのある三吉が店先に入って挨拶すると、女主人お春が飛び出して来た。
「お良さんかい」
「はい」
「疲れたろう。さあ、遠慮はいらない。中にお入り」
と、お良を迎えるお春の言葉は、江戸っ子らしく元気がいい。
「初にお目にかかります。お良と申します」
お良が改めて挨拶を始めると、「挨拶は後にして、まずは座敷に上がって体を安めな」