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お前と、俺と・・・。
第15章 お前と、俺と・・・。
「秀俊…俺はな、美咲を…お前の母さんを一人残して
逝ってしまった…
お前が生まれて、あいつは母親でありながら、父親
でもあった。きっと、大変だったと思う。
必死でお前の事、育ててきてくれたんだと思う。
あいつには、頭が上がらないよ…
だけどな、俺だって…出来れば、生まれたお前の事
抱っこしたかった。
肩車もしたかったし、手を繋いで入園式、入学式にも
行きたかった。
キャッチボールだっていっぱいしたかったんだよ…
あの事故で、あの事故に遭ったせいで…
お前とは、何ひとつ出来なかった。
だけどな、今、お前の為に、俺にも出来る事がある
んだ!
それは、お前をこっちの世界に来させない事。
これ以上、美咲を泣かせたくないし、お前も愛する
子を残していけないだろう?
俺が出来なかった事、これからも、もっと美咲に
させてやってくれよ!
お前が結婚して嫁さんを迎えて…
二人に子供が出来て、俺と美咲にとっては孫になるん
だぞ!…ハハハッ、孫の成長も楽しみだな。
なぁ秀俊、愛する人の為にも生きてくれ!
お前にとっての母さんは、俺にとっての、大切な…
愛する女なんだ。
美咲の悲しむ姿は、もう見たくない。
今も、ずっと向こうの方で、泣いてる子が見えるん
だ… その横で、美咲も泣いている。
秀俊…生きてくれ! 父さんの分まで、もっともっと
生きてくれ!!
これが、父さんからの最初で最後のお願いだ…」