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熟女美紗  情交の遍歴
第6章 軋むベッド 情交の館 
 「横浜と京都、これが私たち夫婦には丁度いい距離」
 (そうか、横浜と京都は、わずか二時間の距離か)

 「俳句の先生である前に、久美さんは私の患者。医師と患者の関係なんです」

 健は美紗の横にピタリと並んで歩いた。
 背も高くなかなかの好男子。
 並んで歩かれても悪い気はしないが、いかにもプレイボーイな若い医者だ。

 美紗は幸一の寝室のことが気になっていた。
 久美に情事の痕跡を気づかれるのは嫌だ。
 シーツは二階から降りる前、寝室をのぞいたときすでに外してあった。
 シャワーは使わなかった。
 その時、美紗はパウダールームで髪を振り乱しながら幸一と繋がっていた自分の姿を思い出した。
 幸一の精液と混ざって脚をつたって流れ落ちたあの汁が床を濡らしていた。

 (髪の毛一本でも、女は気づく)

 もし幸一が久美を寝室に誘いでもしたら・・・。

 「瀬川さんこそ、昨夜の感慨に浸っているようですね」
 (図星だ。この男、油断も隙もあったものではない)

 「ここが海の見える丘公園よ。ベンチにでもお掛けになります」 

 美紗は並んでいるベンチの中から木陰にある涼しげなベンチを選んで座った。
 遠く、海の向うに広がる青い空をカモメの群れが気持ちよさそうに飛んでいた。
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