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熟女美紗  情交の遍歴
第7章  欲情の花火 医師 健 
 ふらつくような足で寝室を出た美紗は腰が抜けるほどビックリした。
 居間のソファーの上に健が、これまたパンツ一枚で横たわっている。
 爆睡中だ。
 体にかかっていたバスタオルはずれ落ち、窓には裾が濡れたズボンがぶら下がっている。紗は足音を忍ばせて部屋を出るとバスルームに向かった。
 脱衣場には鼻を突く悪臭が漂っていた。
 脱ぎ捨てた衣服はゲロまみれで洗濯機の中に放り込まれている。
 とりあえず洗濯機を回し、美紗は改めてバスルームに入り、シャワーを浴びた。

 (あのロシア料理の店であおったウオッカがいけなかった)

 昨夜の記憶が少し戻ってきた。
 健に抱えられるようにしてタクシーに乗ったようだ・・・・。
 いったい何があったのか・・・、この嘔吐、そして・・。
 なぜ裸で・・・。

 身なりを整え、化粧を済ますと、もう一度そっと居間をのぞいた。
 健は身動き一つせず眠っていた。
 美紗はキッチンに入って朝食の準備を始めた。
 冷凍してあったご飯を解凍し、塩麹漬けにしてあったシャケを焼いた。
 それから野菜サラダと味噌汁。準備ができたところで、健を起こした。

 「美紗さん、おはよう。大丈夫ですか」

 健は寝ぼけ眼で美紗を見た。

 「おはようございます。昨夜は、ご迷惑をおかけしてしまったようね。前田さん、とりあえず服を着てください」

 健はあわてて服を着た。

 「迷惑だなんて、それに、僕はただあなたの言うがままに指示に従ってここに来ただけですから」
 「私の言うがまま・・」
 「あなたの指示がなかったらここに来られるわがけないでしょう。それにしても素敵なお住まいですね。これって、社長のプレゼント」
 「まさか。この家には幸一さんだって一歩も入れていないワ」
 「とすると、もしかして、この家に入ったのは僕がはじめての男」
 「そういうことになるかしら・・・、でもどうして分かるの、そんなことが」
 「パジャマでもないか少し家捜ししたんですが、男の気配がまったくなかったので」
 「エッ、家捜し、もう・・・・」

 不躾な男だと思ったが、酔いつぶれた自分が悪いのだ。

 「僕だって、酔っぱらって、何がなんだかよくわからなくなって」

 そこまで言って、「アッ」と健は声を上げた。
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