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熟女美紗  情交の遍歴
第7章  欲情の花火 医師 健 
 「そこにお掛けください」

 診察室に入ると、健はいつもの席に座り、美紗に患者用の椅子を勧める。
 落ち着いた診察室だった。

 「なんだか、病人にさせられた気分よ」
 「先ほどの話の続きですが、美紗さん、当然あの夜、あの部屋で社長と寝ましたよね・・・」

 白衣を着ていない健はまるで取り調べ中の刑事だ。

 「寝た・・・・。寝たのは来客用の寝室よ。でも・・・」

 美紗はまともに答えられなかった。

 「いやだわ、内科の先生が患者の胸をはだけて聴診器を当てるように、心療内科の先生は患者の心を裸にするのね」
 「美紗さん、上手いことを言いますね。その通りです。美紗さんが患者なら、僕は内科医になりたかったなあ」
 「とんでもないエロ医者ね」 

 美紗は思わず胸元に手をあてた。

 「人命救助の話はどうなったの」
 「ごめんなさい。じつはパウダールームから出てきた久美さんは半狂乱になってご主人を責めた。積年の思いをぶっつけたわけです。それを聞いてご主人は自分の思い違いに気づいた。久美さんが求めていたのはご主人からの自由ではなく、ご主人の愛だ、とね」
 「だから」
 「だから、美紗さんの落とした髪の毛が、というか情交の痕跡が、二人を救った、と言うか、久美さんを救った」

 (情交の痕跡・・・まずい)

 「美紗さん、顔が赤くなりましたね」

 健は、再び美紗に鋭い視線を投げ掛けた。

 「その夜、ご主人は久美さんを抱いたんです。ありったけの愛情をこめて。その日のご主人の愛撫は、久美さんが今まで経験したことのない激しいものだったそうです。ご主人の激しい攻撃に、久美さんは燃え尽き、喜悦する体をご主人抱かれ、その胸の中で眠った」
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