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熟女美紗 情交の遍歴
第7章 欲情の花火 医師 健
宮津の浜辺には近在の住人が集い、人々が流したたくさんの燈籠船が蝋燭の灯を点しながら沖に向かって流れてゆく。
祖先の霊を送る幻想的な昔ながらの盆の送り火。
京の夏の夜空をいろどる五山の送り火とは対照的な、静かな片田舎の海の風物詩だった。
美紗も、燈籠船を一つ買った。
蝋燭に火を点すと波打ち際から、そっと海に向かって船を流した。
沖に向かって流れて行く燈籠船に美紗は手を合わせた。
(本当に、仏様のお導きだわ)
夫のことが走馬灯のように想い出され、その想い出に浸りながら美紗は泣いた。
流れても流れても尽きない涙がこんなにも甘く心地よいものだとは思わなかった。
「失敗したなぁ・・、美紗さんが未亡人だったとは・・・」
涙にくれる美紗の後姿を見ながら、健はまた悔しがった。
「失敗だなんて。まだ一度も夫のお墓にお参りしてないの。薄情な未亡人ね」
美紗の目に再び涙が溢れる。今度は苦い味がした。
燈籠船は流れて遥か沖に消えていった。
祭りを彩るように花火が打ち上げられていた。
打ち上げられた花火は水面に写って、空と海から宮津の港を彩っていた。
宿に戻ると、健の心配をよそに、美紗はツインを気にしない様子。
「美紗さん、随分泣いていたけど、僕と一緒の部屋でいいの」
美紗は傍らに立って心配する健に抱きついた。
「いいのよ。思い切り涙を流したから、なんか、さっぱりしたわ」
美紗の甘い誘いのつぶやきが健の耳をくすぐる。
「え、そうなんですか」
「こころのお医者さんのくせに、ダメね」
「難しいな、女心は」
健はおどけたような声を出し、意外な展開に目が丸くなる。
「今夜はあなたの胸に抱いて眠らせてね。ケンチャン」
「僕の腕の中で 亡くなったご主人の夢を見る・・・・まるで歌の世界ですね」
「違うわ。この人が新しい私の恋人だって、あの人に報告するのよ」
「そっかー」
祖先の霊を送る幻想的な昔ながらの盆の送り火。
京の夏の夜空をいろどる五山の送り火とは対照的な、静かな片田舎の海の風物詩だった。
美紗も、燈籠船を一つ買った。
蝋燭に火を点すと波打ち際から、そっと海に向かって船を流した。
沖に向かって流れて行く燈籠船に美紗は手を合わせた。
(本当に、仏様のお導きだわ)
夫のことが走馬灯のように想い出され、その想い出に浸りながら美紗は泣いた。
流れても流れても尽きない涙がこんなにも甘く心地よいものだとは思わなかった。
「失敗したなぁ・・、美紗さんが未亡人だったとは・・・」
涙にくれる美紗の後姿を見ながら、健はまた悔しがった。
「失敗だなんて。まだ一度も夫のお墓にお参りしてないの。薄情な未亡人ね」
美紗の目に再び涙が溢れる。今度は苦い味がした。
燈籠船は流れて遥か沖に消えていった。
祭りを彩るように花火が打ち上げられていた。
打ち上げられた花火は水面に写って、空と海から宮津の港を彩っていた。
宿に戻ると、健の心配をよそに、美紗はツインを気にしない様子。
「美紗さん、随分泣いていたけど、僕と一緒の部屋でいいの」
美紗は傍らに立って心配する健に抱きついた。
「いいのよ。思い切り涙を流したから、なんか、さっぱりしたわ」
美紗の甘い誘いのつぶやきが健の耳をくすぐる。
「え、そうなんですか」
「こころのお医者さんのくせに、ダメね」
「難しいな、女心は」
健はおどけたような声を出し、意外な展開に目が丸くなる。
「今夜はあなたの胸に抱いて眠らせてね。ケンチャン」
「僕の腕の中で 亡くなったご主人の夢を見る・・・・まるで歌の世界ですね」
「違うわ。この人が新しい私の恋人だって、あの人に報告するのよ」
「そっかー」