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第1章 肉欲の暴走　大学生　俊輔

　翌朝、俊輔の姿はなかった。

　テーブルの上に置手紙があった。
　それは別れを告げる手紙だった。
　手紙を手に美紗は呆然と立ち尽くした。

　たった一度の情交。
　やっと掴んだと思った俊輔は、一夜で消えた。
　手紙には、俊輔の率直な気持ちが書かれていた。


　あなたがそばにいたら、僕は溺れる。
　あなたのその美しい体に抗うには僕は弱すぎます。

　さようなら　美紗さん　　
　大人になって戻ってきます。
　生涯忘れられない美紗さんへ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　俊輔
　
　美紗は失ったものの大きさよりも、自分の犯してしまった行為の罪深さに恥じ入った。
　若い俊輔にとっては、辛い選択だったのだ。
　それでも、俊輔はわたしを捨てた。
　彼の選択は正しい。
　長い人生の中で、今、俊輔がしなければならないことは学業に精を出すこと。

　美紗は自分を恥じた。

　車で一度、そして己の欲望の暴走で一度。
　二度も俊輔を傷つけてしまった。