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熟女美紗  情交の遍歴
第2章  弄ばれる悦び セフレ 充
 食卓テーブルには充の用意した夕食が並べられていた。
 美紗は縁側に出て窓の外を見た。
 黄昏色に染まった初夏の空が次第に色褪せて、夕闇が広がり始めていた。
 谷底から涼しい風が上がってくる。

 「ああ、気持ちいい」

 美紗は少し胸元を開くと、手に持ったタオルで胸に吹き出た汗を拭いた。

 「美紗さん、浴衣がお似合いですね」
 「久しぶりの浴衣です。私が借りて本当によかったのかしら」

 充は笑って答えた。

 「もう、十年近くも昔のことです」
 「どうして逃げられたんですか」
 「あれは、都会が好きだったんです。田舎は息が詰まると・・・」

 美紗もこんな田舎暮らしは無理だと思った。

 「遊びに来るのは楽しいけど、暮らすとなると難しいわ」
 「それが普通です」

 そう言ってから充は頭を掻いた。

 「じつを言えば、二人も逃げられて・・・、結婚する前に逃げられた女も入れたら何人に逃げられたかなあ」

 美紗はそれを聞くと声を出して笑った。

 「そんなに・・・。もてるのネ、充さん」

 二人の間には、いつの間にか他人行儀な感情が消えていた。
 美紗は料理に舌鼓を打ちながら充にお酌をした。
 寝間着代わりの浴衣の中で、美紗の豊満な胸が揺れた。
 酔った充は次第に遠慮を忘れていった。

 「美紗さん、独り身は寂しくないですか・・・。まあ、あなたのような美しい人は、男が放っておかないか」

 充の舐めるような視線が美紗に注がれた。

 「男は自分が燃え上がれば上がるほど、女も燃えると勘違いする」
 「そうなの」
 「ところが、女は違う」
 「詳しいのね。充さん」
 「それで、さんざん失敗しましたから」

 充は笑った。
 話が次第に男と女の話題に向かうと、美紗は喉の渇きを覚えた。

 「男が藁なら、女は薪です」
 「燃えにくいってわけネ」
 「あまり乾ききった薪よりも生乾きの薪の方が、燃え出したら激しい」
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