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熟女美紗  情交の遍歴
第5章  情事の香り 社長 幸一
 「なに?、どうしたの。何が可笑しいの、幸一さん」

 弾むような激しい呼吸も静まり、美紗が不思議そうな顔で尋ねた。

 「美紗、何回いった?」
 「数えてないわ、分かるわけないでしょう」
 「一〇回か。もっといったね」
 「あなたのせいよ」

 美紗は裸身を幸一の方に向けた。

 「美紗、僕はね、男も女も一度で終るものだと、今の今まで思っていた」
 「ふうん、そうだったの。私の夫も最初はそうだったわ。私ね、それが物足りなくて、夫が寝入ると、そっと、自分でしたの。あるとき、それを夫に気づかれて」
 「それで…」
 「それからは、彼が、何度もいかせてくれたわ。そのうちに、いろんなことも試すようになって…」

 (それから…)
 充の顔がふっと浮かんだが、美紗はもちろん、それには触れなかった。

 美紗は幸一の上に裸身を重ねた。

 「奥様も今頃、若い恋人に教えてもらって楽しくやってるかも」

 幸一は美紗を抱きしめると一回転して美紗の上になった。
 幸一は三〇過ぎに会社を継いだ。
 それから二〇年近く必死で会社経営に明け暮れた。
 妻との営みは義務のように処理していたのかもしれない。

 「私でよくって? 奥様に試してみたくなったりしない」

 幸一は美紗にキスをして、その口を塞いだ。
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