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第6章 軋むベッド　情交の館　

　美紗と幸一は、二人のスキャンダルが会社中の話題になっていることを知った。

　「偶然とはいえ、世の中、何があるか分かりませんネエ」

　岸川は何度も振り返っては二人を見つめ、しきりに感心している。

　「どうするの美紗」

　絵里は社長の好色の「餌食」になった美紗の身を心配している様子。

　「しょうがないでしょ。こうなっちゃったんだから・・・・」

　美紗はあっけらかんとしている。

　「社長、全女性社員を敵に回すことになりますヨ」
　「絵里さん、そんなに怒ってばかりいないで、何とか二人を守ってやらないと」

　岸川が間に入って絵里をなだめる。

　「明日からどうしたらいいのかしら。本社勤務は無理だったのよ。絵里助けて」
　「吉沢さん、私に助けて欲しかったら、お給料倍にしてくださらない」
　「絵里、あなた本気なの」
　「冗談に決ってるでしょ」

　絵里が笑顔で振り返った。

　絵里はこのスキャンダルをネタに二人をからかって愉しんでいたのだ。
　絵里の剣幕に一杯食わされた美紗と幸一はホッとした。

　「しかし、残念だなあ」

　岸川が大袈裟に嘆いた。

　「何が残念なの？　美紗を吉沢さんにとられたこと」

　絵里が聞き返した。

　「違います。土建屋と薬屋には縁がないってことですよ」
　「なあーんだ。商売の話ね」

　四人の笑い声が雑木林の中に広がって行った。