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第7章 秋桜の秘密

「ちょっと！清たん、何真っ昼間に愛の嵐繰り広げてんのよ。
ヤバイよヤバイよ18禁だよ、18禁！」
賑やかな声と共に、大きな瞳がきらきら輝く闊達そうな女子学生が脱兎の如く駆けつけてきた。
「君…！」
ぎょっとしたように柊司が眼を見張り…やがて…
「…岡田くんか…」
諦めたように肩を落とした。

…女子学生…岡田瞳はそのまま澄佳の貌を覗き込み、大きな瞳を更に見開いた。
「うわ！…もしかして…清たんの恋人⁈
海の町に住んでいる…て言う…。
天然記念物級の超清楚美人！
…わあ…ほんと、すっごい美人！
あの写真よりもっと美人！
清たん、すっげ〜！本当にいたんだね…。
なんかすご〜いカンドー！」
「…少し静かにしてくれないか。澄佳さんが驚いている」
ため息を吐きながら、ペラペラと捲したてる瞳を諌める。
呆然とする澄佳に、安心させるように瞳を紹介をする。
「澄佳さん、こちらは僕のゼミの学生の岡田瞳さんです」
紹介されるなり瞳は澄佳の隣の席に座り込み、にこにこと人懐っこく笑いかけた。
「初めまして、岡田瞳です。
清たんには私の留年の危機を救って頂いて…気持ちは清たんの舎弟でっす！
…あ、大丈夫ですよ！こう見えて私と清たんとは清い関係ですからご安心を…ウフフ」
「何がウフフだよ。
どう見ても清い関係だろう⁈紛らわしい言い方をしないでくれ」
ジロリと睨みつける柊司を澄佳はまじまじと見つめ、やがてくすくすと笑いだした。
笑いはなかなか止まらずに、しばらく愛らしい笑い声が響いた。
…そうだった。澄佳は意外に笑い上戸だったのだと、柊司は思い出す。

笑い納めた澄佳は白い花のような匂いやかな笑顔で挨拶をした。
「…初めまして。小川澄佳です。
どうぞよろしくお願いいたします」

…その無垢な笑顔の美しさに柊司と瞳は目が釘付けになる。

「…綺麗だ…」
二人は異口同音にそう呟いたのだった。