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フリマアプリの恋人
第7章 秋桜の秘密
…10階にある柊司の住まいは小綺麗に片付いていた。

華美なものではなく品のある北欧の上質な家具やカーテンが配色良く備わり、落ち着いた印象を与えていた。

書斎は夥しい本で埋め尽くされた本棚が壁一面に並び、柊司の仕事を察することができた。
シンプルな書斎机と椅子…。
机の上には内房の町で澄佳と撮った写真がプリントされ写真立てに飾られていた。
…その写真の柊司を、愛おしげに指でなぞる。

鍵を渡す時に柊司は密やかに告げた。
「…スペアキーを作った。
これは澄佳のだ。持っていて」
握りしめられた手は熱を帯びていて、澄佳をまた胸くるおしくさせた…。

…部屋を出ようとふと出窓に目を遣り…もうひとつの写真立てがあるのに気づく。

近づいて見て思わず惹き寄せられるように、手に取った。
…家族写真のようだった…。
写真館で撮られたらしきそれに映る柊司は今より少し若く…二十代に入ったばかりのようだった。
傍らに立つ白髪混じりのいかにもインテリ然としている初老の紳士は柊司の父親だろう。
穏やかな優しい眼差しが柊司と良く似ていた。

…その隣、柊司に手を握られ可愛らしい幼稚園の制服、制帽を身につけているのは恐らく今、入院しているという妹であろう。
幼いながらもとても可愛らしい貌立ちをした幼女であった。
微笑みながら隣の人物に視線を移し…思わず釘付けになる。

…なんて綺麗なひと…。

椅子に座り、柊司の妹のもう片方の手を握り微笑んでいる着物姿の女性の匂い立つような優雅な美しさに思わず魅せられた。
…年の頃は三十を過ぎたばかりだろうか…。
その若々しさからも柊司の実の母親ではないだろう。
以前、柊司が話していた生母が亡くなった後に来た父親の後妻であろう。

上品な友禅の小紋を見事に着こなした美しく嫋やかな女性であった。
写真からもその稀有な美貌と輝きが伝わってくる…そんなひとだ。

…こんなにもお若くてお美しいひとが、柊司さんのお義母様…。
その事実に少し怖気付くような…訳の分からない微かな脅威を感じた。

…しかしそんな自分を戒めるように、澄佳は首を振った。
…そんなこと…考えるだけで失礼だわ…。

柊司の話だと義母との関係も良好のようだった。
…きっとお優しい良いお義母様だわ…。

そう自分に言い聞かせるように呟く。
澄佳は写真立てを丁寧に戻すと、書斎を後にした…。



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