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フリマアプリの恋人
第7章 秋桜の秘密
ひとしきり涙を流し、落ち着いた由貴子をソファに座らせる。
横に座ると、由貴子はぽつりぽつりと話し始めた。
「…瑠璃子の学校のこと…。
私も山村留学は考えていたの。
あの子のことを、誰も知らない新しい場所で一からスタートさせてみたい…て。
…でも、知り合いもつてもないからどうしようかと思っていたの…。
さっき聞いていたら、瑠璃子もとても前向きで…嬉しかった…。
学校に行きたがる瑠璃子を見たのは久しぶりよ…。
…本当に…澄佳さんの町の学校をご紹介いただけるのかしら?」
慈愛深い母親の眼差しをした由貴子に大きく頷く。
「はい。その学校の校長先生は私の担任の先生だったんです。
とても温かくて優しくて教育に情熱を持った先生です。
すぐに瑠璃子ちゃんのことをお話してみます」
由貴子は安堵したように息を吐き、ややもして少し悪戯めいた瞳で微笑った。
「…でも…新婚さんのお家に瑠璃子が下宿してご迷惑じゃないのかしら?」
「…え?」
驚く澄佳に由貴子が穏やかに告げた。
「ご結婚、なさるんでしょう?柊司さんと。
…澄佳さんはこのままお店を続けられるの?
それとも、東京の柊司さんのところで暮らすの?」
ふっと貌を曇らせて口籠もる。
「…結婚…してもらえるんでしょうか…。
私、ずっと優柔不断に迷って柊司さんの元に飛び込めなかった。
…柊司さんはもう私に愛想を尽かしているかも知れません」
柊司に愛を告げる覚悟を決めたけれど、冷静になると心が揺らぐ…。
そんな澄佳に由貴子がわざと大きなため息を吐いてみせた。
「それは杞憂というものだわ。
柊司さんは今も変わらず貴女を愛しているから」
「…由貴子さん…」
眼を見張る澄佳に、由貴子が姉のように優しい微笑みで頷いた。
「…柊司さんの愛は変わらないわ。
私の自慢の息子は、簡単に約束を違えるひとではないのよ。
私が保証するわ」
「…由貴子さん…」
涙ぐむ澄佳の手を、優しい白い手が勇気を与えるように握りしめる。
「早く行ってあげて。柊司さんのところに…。
…そうして、二人で幸せになって…」
横に座ると、由貴子はぽつりぽつりと話し始めた。
「…瑠璃子の学校のこと…。
私も山村留学は考えていたの。
あの子のことを、誰も知らない新しい場所で一からスタートさせてみたい…て。
…でも、知り合いもつてもないからどうしようかと思っていたの…。
さっき聞いていたら、瑠璃子もとても前向きで…嬉しかった…。
学校に行きたがる瑠璃子を見たのは久しぶりよ…。
…本当に…澄佳さんの町の学校をご紹介いただけるのかしら?」
慈愛深い母親の眼差しをした由貴子に大きく頷く。
「はい。その学校の校長先生は私の担任の先生だったんです。
とても温かくて優しくて教育に情熱を持った先生です。
すぐに瑠璃子ちゃんのことをお話してみます」
由貴子は安堵したように息を吐き、ややもして少し悪戯めいた瞳で微笑った。
「…でも…新婚さんのお家に瑠璃子が下宿してご迷惑じゃないのかしら?」
「…え?」
驚く澄佳に由貴子が穏やかに告げた。
「ご結婚、なさるんでしょう?柊司さんと。
…澄佳さんはこのままお店を続けられるの?
それとも、東京の柊司さんのところで暮らすの?」
ふっと貌を曇らせて口籠もる。
「…結婚…してもらえるんでしょうか…。
私、ずっと優柔不断に迷って柊司さんの元に飛び込めなかった。
…柊司さんはもう私に愛想を尽かしているかも知れません」
柊司に愛を告げる覚悟を決めたけれど、冷静になると心が揺らぐ…。
そんな澄佳に由貴子がわざと大きなため息を吐いてみせた。
「それは杞憂というものだわ。
柊司さんは今も変わらず貴女を愛しているから」
「…由貴子さん…」
眼を見張る澄佳に、由貴子が姉のように優しい微笑みで頷いた。
「…柊司さんの愛は変わらないわ。
私の自慢の息子は、簡単に約束を違えるひとではないのよ。
私が保証するわ」
「…由貴子さん…」
涙ぐむ澄佳の手を、優しい白い手が勇気を与えるように握りしめる。
「早く行ってあげて。柊司さんのところに…。
…そうして、二人で幸せになって…」