この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
フリマアプリの恋人
第3章 紫陽花のため息
登録したてのメールアドレスに初めてのメッセージを打つ。
…まずはお詫びだ。
いや違う。
もっと伝えたいことを伝えなくては…。
「澄佳様
ありがとうございます。
心から感謝申し上げます。
メールアドレスを教えてくれて、ありがとう。
僕にチャンスをくれて、ありがとう。
…もっと気の利いたことを話したいけれど、嬉しくて興奮してしまい、ほかに思い浮かびません。
まるで思春期の少年みたいになっています。
もっとも僕は思春期にこんなに舞い上がったことはありませんが…。
…有頂天になってはいけないと肝に命じております。
けれど、これだけは言わせてください。
貴女が好きです」
…とても三十過ぎた文学部の准教授の書く文章とは思えない。
しかし、これ以外の言葉が思いつかない。
仕方ない。
恋はひとから論理的な思考も言葉も奪うのだと、柊司は生まれて初めて知ったのだ。
澄佳の気が変わらない内にメールを送らなくてはならない。
柊司は文章を読み返すこともなく、送信ボタンを押した。
…まずはお詫びだ。
いや違う。
もっと伝えたいことを伝えなくては…。
「澄佳様
ありがとうございます。
心から感謝申し上げます。
メールアドレスを教えてくれて、ありがとう。
僕にチャンスをくれて、ありがとう。
…もっと気の利いたことを話したいけれど、嬉しくて興奮してしまい、ほかに思い浮かびません。
まるで思春期の少年みたいになっています。
もっとも僕は思春期にこんなに舞い上がったことはありませんが…。
…有頂天になってはいけないと肝に命じております。
けれど、これだけは言わせてください。
貴女が好きです」
…とても三十過ぎた文学部の准教授の書く文章とは思えない。
しかし、これ以外の言葉が思いつかない。
仕方ない。
恋はひとから論理的な思考も言葉も奪うのだと、柊司は生まれて初めて知ったのだ。
澄佳の気が変わらない内にメールを送らなくてはならない。
柊司は文章を読み返すこともなく、送信ボタンを押した。