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フリマアプリの恋人
第3章 紫陽花のため息
柊司はランチ時間が何より楽しみになった。
澄佳とメールのやり取りができるからだ。
やり取りと言っても他愛のないことばかりであった。
「清瀧さんは今日は何を召し上がっているんですか?」
柊司は目の前のごくありふれたコーヒーショップのペーパーバッグを見て少し笑う。
「ドトールのサンドイッチです。中身はツナとBLTサンドです。それからモカコーヒー。
大体こんな毎日です」
「質素…というか、お野菜もきちんと採った方がいいですよ」
「澄佳さんは?」
「私は五穀米のおにぎりとイワシのマリネ、ラタトゥイユです。
…賄いなんです」
ん?と柊司はスマートフォンの画面を見ながら首を捻った。
「賄い?」
…レストランか旅館に勤めているのかな。
考えているとレスが届く。
「…私、小さなレストランを経営しているんです。
レストランと言っても小さな食堂みたいな店です。
十人も入れば一杯になるような…。
経営なんて、偉そうですね…」
謙遜した遠慮深い言葉にすぐに返信する。
「すごいじゃないですか!」
…はっとあることに気づき、さりげなく質問を滑り込ませる。
「…澄佳さんお一人で経営されているのですか?」

返信が来るまでが異様に長く感じる。

「はい。私一人でやっています。
…元々は祖母が一人で切り盛りしていたのを引き継いだんです」

「そうですか…。良かった…」
思わず本音が露呈する。
「…え?」
怪訝そうな言葉に、柊司は深呼吸すると思い切って答える。
「…貴方が結婚していらっしゃらなくて良かったと思っています」

しばらくして、少し意地悪な返信が届く。

「…結婚していないと、どうしてわかるのですか?
夫は違う職業かもしれませんよ。結婚はしていないけれど、恋人はいるかも?」
「え?」
思わず固まる柊司が見えたかのように、可笑しそうなレスが続いていた。

「嘘ですよ。…結婚もしていないし恋人もいません。
こんな冴えない女を…清瀧さんは本当に物好きだわ」





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