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フリマアプリの恋人
第3章 紫陽花のため息
「そんな…!
澄佳さんが冴えないなんて、あり得ない。
貴方はとても美しい方だ。僕には分かる」
「なぜ分かるの?私の貌をご覧になったこともないのに」
「美しいというのは容姿のことではありません。
貴方の存在そのものが僕には美しく感じられるのです。
貴方のアクセサリーの作品やメールの文面からそれは確かに感じられます。
…それから…」

少し躊躇いつつ、告げる。

「…貴女の横顔はとても美しかった。
叙情的で上品で…少し日本的な寂寥感があって…。
あの美しさに僕は魅せられたのです」

しばらくレスは来なかった。
あの着画を褒めたのはまずかったかな…怒ったかな…と案じていると、バイブが鳴った。

「…文学部の先生らしい褒め言葉ですね。
…でも…私の暮らす世界との差を感じさせられます。
清瀧さんは、多分とても誤解されているわ…。
…私は…貴方の周りにいるような華やかな女性たちとは違います。
田舎の…どこにでもいるような…いいえ、余りに地味すぎて…もし東京ですれ違ったら、貴方はきっと気にも留めないような…そんなつまらない女なのです…」

…そんなこと…と、急いで説明しようとした時、続けて返信が来た。
「…すみません。お客様がいらしたので失礼します」
そう唐突にメールは途絶えたのだった。
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