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フリマアプリの恋人
第3章 紫陽花のため息
「ねえねえ、柊ちゃん、似合う?このブローチ」
瑠璃子のはしゃいだ声で、柊司は我に帰った。
「…ああ…。…良く似合うよ。
とても可愛いよ」
「本当?嬉しい!ブローチなんて付けるの初めて!
ブローチ…て、服の印象も変わるんだね…」
瑠璃子は嬉しそうに紫陽花のブローチをそっと撫でた。
澄佳のブローチは、瑠璃子の白いカーディガンの胸元を可憐に彩っていた。
一つだけオーダーしたのに、澄佳は紫陽花のブローチも添えて送ってくれていた。
「…紫陽花は地味ですから、若いお嬢さんのお気に召すか分かりませんが…」
遠慮勝ちな手紙まで添えて…。
…いつも、そうだ。
さりげなく、瑠璃子が喜びそうなものを同封してくれる。
…言葉少なに…さりげなく…。
ひっそりと…派手な言葉や愛想はないが、そこには確かに温かな澄佳の愛情を感じることができた…。
「…本当に…可愛いひとだ…」
思わず溢れた言葉に、瑠璃子が不思議そうな貌をした。
「柊ちゃん?どうしたの?」
傍らに佇んでいた由貴子がそっと口を開いた。
「…柊司さんは、ほかのことを考えられているみたいね…。
きっとお忙しいのよ…。
さあ、そろそろ私は帰るわ。明日はお稽古時間が早くて…生徒さんが早く見えるの」
由貴子はさっさと上着を着だした。
慌てて声を掛ける。
「送りますよ、母様」
瑠璃子のはしゃいだ声で、柊司は我に帰った。
「…ああ…。…良く似合うよ。
とても可愛いよ」
「本当?嬉しい!ブローチなんて付けるの初めて!
ブローチ…て、服の印象も変わるんだね…」
瑠璃子は嬉しそうに紫陽花のブローチをそっと撫でた。
澄佳のブローチは、瑠璃子の白いカーディガンの胸元を可憐に彩っていた。
一つだけオーダーしたのに、澄佳は紫陽花のブローチも添えて送ってくれていた。
「…紫陽花は地味ですから、若いお嬢さんのお気に召すか分かりませんが…」
遠慮勝ちな手紙まで添えて…。
…いつも、そうだ。
さりげなく、瑠璃子が喜びそうなものを同封してくれる。
…言葉少なに…さりげなく…。
ひっそりと…派手な言葉や愛想はないが、そこには確かに温かな澄佳の愛情を感じることができた…。
「…本当に…可愛いひとだ…」
思わず溢れた言葉に、瑠璃子が不思議そうな貌をした。
「柊ちゃん?どうしたの?」
傍らに佇んでいた由貴子がそっと口を開いた。
「…柊司さんは、ほかのことを考えられているみたいね…。
きっとお忙しいのよ…。
さあ、そろそろ私は帰るわ。明日はお稽古時間が早くて…生徒さんが早く見えるの」
由貴子はさっさと上着を着だした。
慌てて声を掛ける。
「送りますよ、母様」