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フリマアプリの恋人
第3章 紫陽花のため息
澄佳の話を柊司は穏やかに受け止めた。
…言い淀んだ言葉は、過去の恋愛についてなのだろう。
恐らくは、辛い恋だったに違いないことを柊司は察知した。
けれど、追求はしなかった。
触れられたくない恋のひとつやふたつ、誰しもあるものだ。
だから、それからは他愛のない話をした。
…店の話、内房総のこの港町のこと、柊司の仕事の話、妹の瑠璃子のこと…。
話題は尽きなかった。

…少し改まりながら、柊司はひとつの質問をした。
「…澄佳さん。
女性に年齢を伺うことは、大変に失礼と承知しているのですが…」
柊司が切り出した時、澄佳は眼を丸くして盛大に笑い出した。
「何を緊張なさっているかと思ったら…可笑しいわ…」
笑い出すと止まらなかった。
明るい声でころころと笑い続けた。
…意外に笑い上戸なのかも知れない。
新しい発見が嬉しい。

ナプキンで涙を拭いながら朗らかに答えた。
「三十歳です。…そんなにすごく若くはないわ。
…がっかりしました?」
ほっとしたように柊司は笑った。
「いいえ、とんでもない。
…僕より二つ歳下ですね。…なんだか嬉しいです」
「…へえ…。意外にお若いのね。落ち着いていらっしゃるから、もう少し上かと思っていました」
「…老けて見えます?」
少し拗ねたように尋ね返すと、澄佳は柔らかく笑った。
「いいえ。清瀧さんは穏やかで若々しくて素敵な方です。
…それに…あの…とてもハンサムで…驚いています」
…言ってしまってから口を噤み、頬を染めた。

テーブルを挟んで眼が合う。
見つめ合い…同時に照れたように眼を伏せる。
ぎこちない…けれど少しも嫌ではないふわふわした甘やかな空気が流れる。

…まるで十代の少年と少女のデートのようだ…。
柊司は苦笑いしながら、澄佳が注いでくれたジンジャーシロップを一口飲んだ。




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