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第3章 紫陽花のため息

柊司は、澄佳が敷いてくれた客用布団に横になりながら、隣室にいるであろうそのひとのことを考えていた。

…まさか、泊めてもらえるとは思っても見なかった。
天気が荒れてきたが、車で帰るつもりだった。
運転歴は十年以上だし、元々ドライブ好きで知らない場所にふらりと出かけるのも好きだ。
今はカーナビもあるし、道に迷う心配もない。

けれど、澄佳は泊まってゆくように強く引き留めた。
その様子はとても一途で真っ直ぐで…柊司の心に強く響いた。
自分に恋愛感情を抱いてくれたと自惚れるつもりはない。
けれど、確かに澄佳の中の綺麗な純粋な想いを、柊司は受け止めることが出来たのだ。
そのことを柊司はしみじみと嬉しく幸せに感じたのだった。