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フリマアプリの恋人
第3章 紫陽花のため息
風呂上がり、先ほど案内された部屋に入る。
二階には部屋が二間あった。
一つは澄佳の部屋で、もう一部屋は和室であった。
おそらく、亡くなった祖母の部屋だったのだろう。
家具はなく、きちんと片付けられていた。

部屋には既に布団が敷かれていた。
枕元には古風な行燈が灯っている。

…と、背後からそっと声が掛かった。

「…喉、渇いてませんか?
さっきは車で帰られると思っていたので、アルコールを出さなかったから…」
澄佳が冷えた缶ビールを差し出した。
グラスもなくそのままだ。
…意外に男っぽい仕草に、可愛くて笑みが溢れた。
「ありがとう。遠慮なくいただきます」
受け取ると澄佳は悪戯めいた目元で笑い、自分の缶ビールのプルトップを開けた。

「乾杯…」
二人は同時に缶を合わせる。
よく冷えたビールが渇いた喉を潤す。
「美味しい…」
同時に呟き、見つめ合って笑い合う。
「お酒、飲むんですか?」
「…嗜む程度です。仕事が終わったあとに、缶ビール一本飲むくらいかな…」
「仕事終わりの一杯は堪らないよね。
夏は特に…」

「…清瀧さんはどんなところで飲むんですか?
ドラマに出てくるようなお洒落なバーとか?
…ワインバーとか、ホテルのバーとか…」
アルコールのせいかやや饒舌になった澄佳はとても可愛らしい。
白い頬がほんのり桃色に上気していて、美しかった。
「まさか。普通の居酒屋や一杯飲み屋ですよ。
…大抵は家呑みです」
「へえ…意外…。
清瀧さんはラグジュアリーなバーでしか飲まないのかと思っていました。
インテリなお友達や…綺麗な女子大生なんかと一緒に…」
突飛な発言に思わず吹き出す。
「インテリなお友達はともかく、今は大学も厳しいですからね。
女子生徒と飲みに行ったりしたらすぐに免職ですよ」
「…へえ…。…でも、モテるでしょう?」
疑い深そうな眼差しを、やきもちと受け取るのはさすがに図々しいだろうと自分に言い聞かせながら、答える。
「全然モテませんよ。
忙しいし…僕は女の子を楽しませるような面白味のある男ではないしね」
…ふうん…と小さく呟くと、一口ビールを飲む。

しばらく間があって…
「…恋人とか…本当にいないんですか…?」
少しぎこちない言葉が聞こえた。

柊司はゆっくりと、澄佳の方を向き合う。
「…いません。…だって、貴女に恋しているから…」







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