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フリマアプリの恋人
第3章 紫陽花のため息
「…澄佳さん…僕は貴女が…」
驚かせないようにそっと距離を縮め、目の前の華奢な肩を引き寄せようとする。
同時に、澄佳が弾かれたように後退った。

「あの…!…ごめんなさい…私…」
痛々しくなるほど震える声で詫びられ、柊司は我に帰る。
「いいえ、僕こそすみませんでした」
…今夜は何もしないことを誓って澄佳の家に泊めてもらったのに…。
性急すぎたと、悔いる。

澄佳は黙って首を振ると、廊下に出た。
「…あの…おやすみなさい…」
それでもちゃんと眼を見て挨拶してくれたことに、ほっとする。
「おやすみなさい、澄佳さん」
澄佳は、潤んだ温度の高い眼差しだけを残して、そっと隣室に消えた。
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