この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
フリマアプリの恋人
第3章 紫陽花のため息
ランチタイムの最後の客を送り出し、扉に支度中のプレートを掛ける。
澄佳はカウンターキッチンに足早に戻ると、棚の上に置いたスマートフォンのボタンを素早く押した。
…柊司からのメールが浮かび上がる。
キッチンの椅子に腰掛け、丁寧に読む。
…「無事に着きました。
色々とお世話になりました。ありがとうございました。
…厚かましいのですが今週の金曜日の夜、また伺っても良いですか?」
夢のような男の言葉に、胸が甘くときめく。
…「お店が終わった頃、電話します。
お仕事、頑張ってください。
…貴女が大好きです 清瀧」
最後の一文に頬が熱くなる。
…今朝別れ際に交わしたキスが不意に鮮やかに蘇ってきた。
…男のしなやかな逞しい腕が澄佳を引き寄せ、静かに…けれど力強く抱いた。
唇に与えられたそっと触れるだけの優しいキス…。
天使の羽根のような、愛に満ちたキスだった…。
思わず、両手で火照った頬を覆う。
…こんな…夢のようなことが私の人生に起きるなんて…。
あんなに美しく…魅力的なひとが、自分のような田舎の…さして取り柄もない平凡な女を真剣に思ってくれるなんて…。
…信じて…良いのだろうか…。
苦しいほどの胸の高鳴りを鎮めようと、澄佳は両手を強く握りしめた。
…と、扉が無造作に開いた。
貌を上げると、入り口に涼太が佇んでいた。
澄佳はほっと笑いかけた。
「涼ちゃん。遅かったね。
今日は金目鯛の煮付けだけど、いい?
鰈の唐揚げは完売しちゃったんだ」
「…ああ」
涼太は憮然とした表情のまま、ゆっくりと近づいてきた。
澄佳はカウンターキッチンに足早に戻ると、棚の上に置いたスマートフォンのボタンを素早く押した。
…柊司からのメールが浮かび上がる。
キッチンの椅子に腰掛け、丁寧に読む。
…「無事に着きました。
色々とお世話になりました。ありがとうございました。
…厚かましいのですが今週の金曜日の夜、また伺っても良いですか?」
夢のような男の言葉に、胸が甘くときめく。
…「お店が終わった頃、電話します。
お仕事、頑張ってください。
…貴女が大好きです 清瀧」
最後の一文に頬が熱くなる。
…今朝別れ際に交わしたキスが不意に鮮やかに蘇ってきた。
…男のしなやかな逞しい腕が澄佳を引き寄せ、静かに…けれど力強く抱いた。
唇に与えられたそっと触れるだけの優しいキス…。
天使の羽根のような、愛に満ちたキスだった…。
思わず、両手で火照った頬を覆う。
…こんな…夢のようなことが私の人生に起きるなんて…。
あんなに美しく…魅力的なひとが、自分のような田舎の…さして取り柄もない平凡な女を真剣に思ってくれるなんて…。
…信じて…良いのだろうか…。
苦しいほどの胸の高鳴りを鎮めようと、澄佳は両手を強く握りしめた。
…と、扉が無造作に開いた。
貌を上げると、入り口に涼太が佇んでいた。
澄佳はほっと笑いかけた。
「涼ちゃん。遅かったね。
今日は金目鯛の煮付けだけど、いい?
鰈の唐揚げは完売しちゃったんだ」
「…ああ」
涼太は憮然とした表情のまま、ゆっくりと近づいてきた。