この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
フリマアプリの恋人
第3章 紫陽花のため息
ランチタイムの最後の客を送り出し、扉に支度中のプレートを掛ける。

澄佳はカウンターキッチンに足早に戻ると、棚の上に置いたスマートフォンのボタンを素早く押した。

…柊司からのメールが浮かび上がる。
キッチンの椅子に腰掛け、丁寧に読む。

…「無事に着きました。
色々とお世話になりました。ありがとうございました。
…厚かましいのですが今週の金曜日の夜、また伺っても良いですか?」

夢のような男の言葉に、胸が甘くときめく。

…「お店が終わった頃、電話します。
お仕事、頑張ってください。
…貴女が大好きです 清瀧」

最後の一文に頬が熱くなる。
…今朝別れ際に交わしたキスが不意に鮮やかに蘇ってきた。

…男のしなやかな逞しい腕が澄佳を引き寄せ、静かに…けれど力強く抱いた。
唇に与えられたそっと触れるだけの優しいキス…。
天使の羽根のような、愛に満ちたキスだった…。

思わず、両手で火照った頬を覆う。

…こんな…夢のようなことが私の人生に起きるなんて…。

あんなに美しく…魅力的なひとが、自分のような田舎の…さして取り柄もない平凡な女を真剣に思ってくれるなんて…。

…信じて…良いのだろうか…。

苦しいほどの胸の高鳴りを鎮めようと、澄佳は両手を強く握りしめた。

…と、扉が無造作に開いた。
貌を上げると、入り口に涼太が佇んでいた。

澄佳はほっと笑いかけた。
「涼ちゃん。遅かったね。
今日は金目鯛の煮付けだけど、いい?
鰈の唐揚げは完売しちゃったんだ」

「…ああ」
涼太は憮然とした表情のまま、ゆっくりと近づいてきた。


/332ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ