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御主人様のお申し付け通りに
第3章 甘えるな
「へぇ~、前の旦那と会うんだ」

「とにかく、私の事はほっといて…」

永田は腕をまた組み直して、庭先から路駐している車を見る。

「着いたみたい。まぁ、早くキリ付けて、戻ってこいよ」

そう言って、自分の家へと帰って行った。

キリ付けてって、キリはとっくに私から付けてる。

内情なんて、はっきり言ってない。

戻ってこいよ…か。

何だか、またその言葉にドキッとしてしまった。

私の帰る場所は、永田の場所。

そんなふうに聞こえてしまった。

食事先で、元旦那に訪ねられた。

「一つ聞きたいんだけど。おまえって男と住んでるのか?」

ブブーッ!!

私はウーロン茶を思わず吹き出した。

「そんな訳ないっての!」

「そうだよなぁ」

吹き出したテーブルを、フキンで拭いた。

「もしかして、あの背の高いヒョロッとした作業服の男だと思ってない?」

「おまえのアパートの方へ歩いて行ったから、てっきり」

「なわけないし!」

私は唐揚げを口に頬張りながら、強く言った。

「あの人、あのアパートの管理人の孫だよ」

元旦那は、受け皿にサラダを盛って私に手渡す。

「孫?孫がなんでまた」

「あのオンボロの裏に一軒家があってね、アイツはそこに住んでるの」

手渡されたシーザーサラダをガツガツ食べる。

「ほぉほぉ」
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