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御主人様のお申し付け通りに
第3章 甘えるな
その後は、相変わらず私の仕事の愚痴聞きしてもらって、たらふく食べて喋って、帰りの車の中で眠ってしまった。

「おい、着いたよ」

「ふげぇ~、眠いにゃ」

元旦那の優しい笑顔に、半目で見つめる。

「そんな甘えた声出したらキスしちゃうぞ?」

5つ年上の元旦那は、私の口元を親指でなぞる。

「いいよ。なんてね、嘘だよ」

すると、口唇が近寄ってきて結局キスされた。

軽いキスだけかと思ったら、舌まで入れてきて、

「んんっ…ぅつ…」

…ま、いっか。

私も舌を絡めた。
「なぁ、恋人同士を思い出して、今晩久しぶりにエッチしない?」

「それは…ちょっと…」

キスはしても、そこまではもう別れた男とはハッキリ言って、したくない。

「ダメ?」

私は何だか目が覚めてきて、急に真面目に困惑してしまった。

「今からトシコの部屋でしたいよ、俺」

元旦那は興奮しているのか、息が上がっていた。

「それがダメなの」

「なんで?」

永田の冷酷な顔が浮かんだ。

「人を家に入れるなって言われてて」

「誰にだよ」

「あの管理人の孫に」

元旦那は眉を寄せた。

「孫なんて管理人じゃないから関係ないだろ?いいんだよ、そんなの無視しろ」

「だってね、言う事聞かないと追い出されちゃうから。本当にごめんなさい」

私は握り締められた手を、そっと離した。

「まさか素直にそんな条件、聞き入れてるのか?おまえが」
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