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白い指先と甘い吐息
第8章 翳りゆくとき
翌朝はやく美香は目を覚まし、近所の山へ上った。

霧が出ていて、まるでミルク色の海の中にいるようだ。

そんな幻想的な朝が美香は大好きだった。


「私は本当は何が欲しかったんだろう」

どんなにもがいても掴めなかった貴史さんの心。

美容師としての地位やプライド。

(一体何を失って何を得たんだろうか・・・)

考えても考えても、答えを出せない美香だった。
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